SAGレポート

声優部基礎科 修了発表会を終えて

2014.4.21

3/22(土)23(日)の2日間。SAGの修了公演・発表会のラストを締めくくる「声優部基礎科」の修了発表会が行われました。

SAGでは演技経験者、未経験者関係なく同じクラスで稽古を受けます。

初心者にとっては人前で演技をすることに多少慣れている経験者を見ることが刺激になり、また経験者にとっては、なにも【悪い癖】がついていない未経験者のスポンジのような吸収力に刺激を受ける。
お互いが成長し、成長させ合った1年。しかし一緒に稽古をしているからこそ必ず生まれてくるすれ違いや葛藤もたくさんあり、悩みながら挑んだSAGでの初舞台でした。

【目指す場所は1つでも、ペースややり方、考え方は皆違う。それを理解しあって1つの作品をを一緒に作る大変さ】

そのことを身をもって感じ、学んだ舞台だったのではないでしょうか。

プロダクションに行っても劇団に行っても、周りの人と1つの作品を作る機会はたくさんあるはず。SAGにいるうちにいっぱい悩み、うちのめされておきましょう。

基礎科のみなさんの、舞台発表を終えた感想を聞いてみました。一部ご紹介します。

レッスン生感想

舎川普美

今までにも舞台や発表会をやった事はあったのですが、今回はみんなで作る大変さや楽しさを今までで一番知れた気がします。

自分のダメな所が浮き彫りになり情けなくなったり、役の事が分からなくなったり、仲間達とどういう風にやっていったらいいか分からなくなったり、本当に沢山悩みました。

でも、練習して、仲間と話して、上手くいくようになって、また問題が生まれて…そうやって舞台を作るのがとても楽しくて、本番が全て終った時、達成感や感謝の気持ちと同時に、もうみんなと練習出来ない寂しさやいろんな気持ちが込み上げてきました。

こんな気持ちになるのは生まれて初めての事で、それだけ充実した、沢山の経験が出来たのかなと思います。

岡本先生はじめ、今回関わってくださった全ての方に感謝しています。ありがとうございました。経験した事を活かして、どんな事でも一生懸命にチャレンジしていきたいと思います。

坂場翔

「自分の楽なとこで演技している」

演出の岡本先生に言われた言葉です。この言葉のおかげで自分の演技を見直すことが出来ました。

途中で役が変わり、悔しさもありましたが今までやったことがない役にチャレンジすることが出来ました。自分の役について考える時間が増えていくにつれて、同期のみんなと練習する時間も増えていきました。

音響や照明や大道具などを自分達でやることにより、舞台を作ることがどんなに大変なことが知ることが出来て、とても勉強になりました。

修了発表で得た経験と新しい課題を持って本科に上がりたいと思います。

演出の岡本先生、劇団ムーンライトの宮下さん、基礎科のみんな、そして観に来てくださったお客さん! 本当にありがとうございました!!

酒井義昂

僕は演技経験がまったくなかったこともあり、今回演技面はもちろんですが準備にもとても戸惑いました。まわりが経験者だらけということもあり専門用語が飛び交うこと…。調子に乗って大道具と受付やるよー!なんてやってしまったために本当にてんやわんやになってしまっていたと思います…。

演技面でも岡本先生に人間の動きをしてくれと最後まで言われ続けてしまってとてもクラスのみんなにも迷惑をかけてしまったとも思います。

でも今回やっていた全てのことが正直とても楽しかったです。クラス内、外で揉めたことも、大道具や、受付をやったことももちろん公演の練習をしてる時もずっとテンションが上がりっぱなしで本当に楽しかったと思います。

とりあえず今は、基礎科のみんなやお世話になった本科の方々に感謝の気持ちでいっぱいです…!

北川祐也

修了発表会が終わった直後は「何はともあれ、終わって良かった」とただただほっとしていました。ですが、他のクラスの手伝いや、舞台の後片付けをしている時に、舞台の本番というよりは、舞台本番前にもっとできることがあったのではないかという思いが強くなっていきました。

今回の舞台で演技指導をして下さった岡本先生が常々自分達にかけてくださった言葉が、「登場人物が何か思うことがあるからセリフだったり、行動をとるのであって、虚構の世界をいかにリアルにするかが重要だ」ということです。

自分は、十分にそのことを考えてやれたかと考えると、やれてなかったと思います。がむしゃらにやっていたら終わっていたというのが正直なところです。

他にも稽古の時に、人の演技をみて「もっとこうした方がいいんじゃないか」と積極的に言ったり、逆に自分の演技を見てもらってどんな風に見えているかということを聞いたりすることが必要だったと思います。

最後に、舞台とはみんなでつくっていくものだということがつくづく分かりました。その中で自分が何をするのかを考えるのが必要だと思いました。

関口優美

修了発表会はいろんな自分を見つけられた良い経験になりました。

私はSAGに入ってからは、自分の考えはあっても、正しいか正しくないかがわからないものを相手に主張することができず、ただ「そういう考え方もあるんだ!」とか「そういうお芝居をするならこういう関係にも見えるかも!」等、芝居をほとんどが“有り”として演技の引き出しを増やして行こうという姿勢で取り組んでいました。

しかし、これは自分の考えであり、役者は台本の作者の思いと演出家の意図もしっかり考え、添うように演じることが役目であるから、自分の思う役の感情と演出家の思う役の感情をリンクさせられるかが問われるなと感じました。言われないとわからないこともたくさんありました。

自分の考えを固めて演じている人、演技や動きの癖、態度や言い方…演技面や生活面も含め、皆自分では気が付けないことを当人や仲間と言い合ったりするうちに自分でも相手に思ったことをはっきり言えるようになっていました。

私にとって修了発表を通して、演出家の意図をたくさん考えること、他の人の演技をより見るようになったこと、客席側から見られることをより意識するようになったこと、そして自分の感情に正直な意見を言えるようになったことが自分自身の成長だと感じます。

全体としては稽古から練習から本番まで悔いが残るものがあります。

本気で集中しようと苦しい生活を覚悟しアルバイトを稽古期間お休みを頂いたのに、正直全員が同じ思いで稽古をしていないというのが現実でした。

人によって優先順位が違うのが原因だったと感じます。

辛いのごと楽しく感じるお芝居でしたが、今回ばかりはなかなか上手くいかないことばかりでした。

しかし、そのお陰で駄目なこともわかるようになり、解決策も幾つか見つけることもできました。自分のお芝居に生かせる引き出しは一つ増やせたはずです。

菊池紀子

1年間の集大成、修了発表会を経て思ったことは「この1年で自分が得られたものと足りなかったもの」があるということです。

得られたと思ったものは「知識」。

こういう時にはどうしたらいいか、この作業はこの日までにやろう、など初心者で無知識だった私でしたが演技をする上でやらなければいけない知識を得られたと思います。

そして、足りなかったものは「基礎力」。体力・演技・探究心、すべてにおいて足りないと思いました。

表現出来ない自分に悔しい思いもしました。

先生方はよく「自分を知ること、周りを知ること、役を知ること」と言います。その言葉を改めて重く感じさせてくれたのも発表会だったと思います。今は足りない部分を練習する日々です。(足りない部分が多すぎて大変ですが・笑)

もちろん知識も「得た」と言っても基礎の部分だけなので勉強し続け、新たな1年を大切にし、演技者として成長していきたいと思います。

佐藤真理子

舞台自体は、SAGで体験させていただいたが、まだまだ自分のことを知らない、役立たずと思い知った。大道具や小道具、裏方に関しては、手も出せず、問題外だ。

演じるにあたっては、先生が提示してくださった方法論にできるだけ忠実にやろう、と思った。それが、私の課題だと思ったからだ。役作りに当たって、思い付いたことは全部やろう!などと意気込んでいた。

私の役は、比較的常識的な教師役だった。卒業アルバム等を出して、ヒットしそうなモデルの教師を探した。その先生の口調や仕草などを思い出しながら、この役の人物はどこで生まれ、どんな食べ物が好きで、宗教は何なのか、と、台本に沿って想像した。これが、功を奏したのか、この役を身近に感じることができた。別れがつらいと思うようにもなった。

しかし、公開ゲネの時、笑うシーンでないはずなのに、笑われてしまった。その時は、あまり気にも止めていなかったが、笑われると言うことは、私が笑わせるようなことをしてしまったのではないか。けれど、私には身に覚えがない…。これは、周囲に対する私の認識と私の私に対する認識が、違うからだろう。

認識の違いを実感するのは、怖いことだと感じている。それでも、次回の公演のために自分自身と向き合いたい。

これで、SAG19期の全てのカリキュラムが終了です。発表会・公演を観にきてくださった皆さま、温かい拍手ありがとうございました。

一覧に戻る

Copyright©2003-2016 LEOPARD STEEL附属俳優・声優養成所 松濤アクターズギムナジウム All rights reserved.