SAGレポート

声優部本科修了公演

2012.3.30

3月16日、17日、18日 声優部本科の修了公演が行なわれました。 今回の演目はシェイクスピアの「恋の骨折り損」。しかも和風の演出がなされ、演者のほとんどは袴、着物を身につけてキャラクターを演じました。

和服での立ち振る舞い、シェイクスピアならではの怒涛の台詞の多さ、2時間半とういう長時間にわたる演目をいかにお客様に楽しんで頂くか、たくさんのハードルがあったと思います。
声優部本科にとってSAG最後の舞台となった「恋の骨折り損」
感想を聞いてみました。

生徒感想

矢作 史織

はじめに2時間半の舞台と聞いた時、びびってしまいました。正直私達にそれだけの実力があると思っていなかったからです。
とにかくやるべきことをやらなければと思いました。本科生なのにたいしたことないと思われたくなかったんです。
本番近くになると早く舞台に立ちたいと思うようになりました。4人のフランス貴族の1人をやらせて頂いたのですが、早く舞台でみんなで会いたくてたまりませんでした。
今になるとなんでもっと早く気付けなかったのか?とか、もっとこうしたかったとか、いろいろあります。
でもそれが今の自分のすべてであり、もっと成長できる証拠なんだと思います。

堀之内 俊

僕はこの公演を通していちばんうれしかったのは一人っきりにならないようになったことです。
僕はいままでセリフをもらうと自分のセリフの事しか考えていませんでした。だけど、稽古を重ねるにつれて、周りの状況が見えるようになってきて、共演しているみんなの顔がみえるようになりました。どんな顔かとか、どんな声かとか。そしたらそれに答えたいと思うようになりました。これがキャッチボールってことなのかな…
まだまだ芝居のことわからないことだらけですが、松濤での二年間は大変充実したものになりました。ありがとうございました。

平林 真理奈

今回私がもらった役は物語の中では“あばすれ”といわれる女性。稽古の度にどう表現していったらいいのか迷いました。出てくる度に可愛いポーズをしたり、はじめは恥ずかしくて仕方ありませんでした。
やっている中で講師が「恥ずかしがるな」とか「それで成立するキャラなんだ」と色々な事を言ってくれて、頭真っ白でがむしゃらにやってるだけだったけれど、改めて家で考えてみると、恥ずかしがってる役者を見たお客さんはどうだろうと考えるうちに、この子をやるには自分の中の恥ずかしいと思ってるものをぶち壊さないと出来ないんだと思いました。
次の稽古からはだんだん可愛いポーズをしたり、相手役の反応をみるのが楽しくなったり、人やまわりが見えるようになりました。良いコンディションで本番を迎えることができ、見にきてくださったお客さんにはあのシーンドキドキしましたとか可愛かったですと言っていただき、自分の中では今回の公演は魅せたい物を魅せる事ができたと思います。
今回これだけ良いコンディションで本番に挑めたのは私一人の力ではなく、周りで支えてくれた仲間がいたからです。感謝を忘れず今回の公演で自分の糧にできたものをさらに良いものに出来るように、これからも日々努力していきます。

木倉 康孝

2年間の集大成として臨んだ、今回の公演もあっという間に終わってしまいました。
台本を読み始めた頃は、自分の至らなさに、本番までの道程がとても長く感じられました。
それでも本番に向けていろいろな演出がつけられていき、自分のダメな所や良い所が見えてきたように感じました。
本番といえば、今回は5公演全てに出させていただきました。今までよりも密度の濃い時間を過ごすことができ、両クラスでの違いを感じる事ができたり、自分自身に対して気づけた事など、シングルだからこそ学べた事があったのではないでしょうか。
それに、芝居はアンサンブルだということを、今回は強く感じました。
ここで得たものを次へと活かして、より良い自分を目指して!

岩﨑 里絵

修了公演。自分は初登場まで時間があったので、それまではとにかく見て学ぶことが大半。回を重ねるにつれ、いつも言われることは、相手の話をちゃんと聞く・台本通りに喋る・言われたとおりに動く。
時には人を見ながら自分だったらこうやるとイメージも浮かぶようになった。でも、いざ自分の番になると、それが全くできてない。良くてセリフのニュアンスが合っているだけでパワーが全然足りていない。そもそも発声からなってない…。
自分は時間があるのでそれまでに言われてきたことはできて当然。でも、同じことを言われる。そして自分は双子役だったので、プラスして相手役との動きやセリフが合っていない。所詮はやってる「つもり」だったんです。この2年で「つもり」がどれだけ愚かなことか知ったはずなのになぁ。やっとスタート地点に立った心境です。
でも、この3か月で自分の内的部分が劇的に進化したこともまた事実。だってそうじゃないと、あんな奇抜な衣装で感情爆発させながら奇怪行動するような演技はできません(笑)

やっと己にまとっていた殻を打ち破れたので、それをいいきっかけにもっともっといろんな表現をしていきたい。いろんなものを演じたい。上手くなりたい…!この二年間で、自分を大きく変えることができました。

中野 真希

日常と芝居がどれだけ繋げられていないか、パワー、エネルギーがどれだけ人に影響を与えるのに重要か、板の上でどれだけ相手や周りが見れるか、聞けるかが重要。
演出家は、公演期間中、ずっとこれらのことを繰り返し繰り返し教えてくれました。
そしてやっていて思ったのは、いかにこれが出来ていないか、これを全部クリアするには、どれだけエネルギーが必要で、だけど、そのエネルギーを出してキープするほどの体力気力が全然自分には足りなかったと思いました。
これから北島先生が教えてくれたことをきっちり自分のものに出来るように精進していきます。

髙橋 春香

終わっちゃった。修了公演。
これから始まる。自分次第の道。
この二年間で見つけた成果と課題を身にまとって、歩いていきます。集中!そして、深く深く…。
修了ミーティングでは上手く言えなかったこと。今ならちゃんと言える。
舞台上で一人になってはいけない。周りにみんながいるから立ってられるんだ。
この二年間で関わった全ての人達に、心からの感謝を。
ありがとうございました。そして、これからもよろしく。

小林 恵梨奈

「あれ?もう終わり?」
全部終わって、一番初めにそう思いました。
終わるのがもったいない、もっといろいろ出来たんじゃないか?という気持ちが強かったんだと思います。
舞台での芝居がどういうものかをしっかり学べたお陰で、今までで一番演技に悩み、考え、そして相手の話を聞く、相手に話すということがどういうことなのか感じることが出来ました。
この感覚を忘れないうちに、もう一度北島先生とこのメンバーで芝居を作りたいと思いました。
舞台が苦手という意識から逃げていたところは沢山ありました。
でも今回、自分がなぜ舞台が苦手だったのか分かり、苦手だったことを少しずつ克服することによって舞台に立ちたいと思うようになったんです。
自分が劇的に上手くなったわけではありません。でも芝居は大好きになりました。
「聞く・話す」日常生活で普通にやっているはずなのに、芝居になると出来なくなる初歩的なこと。講師から学んだことを忘れずに、大好きな芝居と、日々真剣に向き合っていこうと思います。
もっと芝居がしたい。芝居で人に何か届けたい。
これが全てです。

大井 克弘

「演じる」という事を改めて考えさせられた公演でした。
僕の役は真面目で本気過ぎるから、結果周りから変わっているように見えてしまう役なんです。だから変にふざけて面白い人にならないようにするのが大変でした。何より恋する男なので、恋をしてはいけない誓約と愛を伝えたい気持ちの板挟みに苦しまなければいけない。
講師には「全然恋してない!」、「ペラペラしゃべるな!ちゃんとしゃべれ!」等など、下手くそと言われ続けたのはめっちゃ悔しかった…。しかし出したいエネルギーを抑えて心の中で燃え上がらせる!そうすることによって今まで自分で出したことない声の音が出せたのには新発見でした。
代わりに、自分の肉体にも負荷を掛けすぎ、発声がダメになってしまったこと、得意の槍を振れ楽しかったけれど、槍舞の動きとセリフがフィックス出来なかったのは反省点です…。
今回みんなで芝居を盛り上げているな、と感じました。北島先生の言う「芝居はアンサンブル」、この意味を改めて実感出来たからこそ芝居を楽しめたんだろうな。修了公演の演出が北島先生で幸せでした!何がいけないかを明確に提示してくれる北島先生は凄かったです。とても実りある数ヶ月でした。

山口 伶史

思いかえせば三ヶ月前のキャスト発表…まさかのビローン(主役)。レッスンがあるたびに北島先生に無双をくらいつつ、がむしゃらにビローンの役になろうと必死でした。結果自分がビローンになっていたかどうかは微妙ですが、本番一週間前に初めてビローンが好きになりました。今では声を大にして言えます、僕はビローンが大好きです、ビローンの役を演じられて本当に幸せでした。そして松濤で学んだ二年間をこれからの人生、演劇ライフに活かしていきたいと思います、みんなありがとう!!我が松濤ライフに一片の悔いなし!!!

伊藤 重弥

修了公演はその2年間の集大成だ。単なる思い出作りではなく、終わりでもなく、通過点に過ぎない。あくまで今の自分に対しての力試しだ。どれだけのことができて、どれだけのことができていないのかがハッキリ分かる良い機会でもある。稽古場で気付いたことがたくさんあった。
表現したくても肉体が追い付かなかったこと、やっていたことが実は自分勝手なものであったこと、失敗したはずのものが逆にその場面にハマっていたこと。
自分で演じるにせよ、他人の演技を見るにせよ、数え切れない程のキッカケや発見が稽古場にはあった。いくつ見つけられて、どれだけ見逃したのだろうか。勿論見逃した数のほうが圧倒的に多いんだろうけど、僅かでも見つけられたならそれでいいと思う。
松濤に通った2年間、多くのことを知り、学んだ。一昨年・去年と比べたら変わったことはあるけど、プロとして活躍するにはまだまだ足りない。
理想にたどり着くために、妥協しないで、進んでいきます。

渡邊 由紀

松濤最後の舞台。
私の役はいわゆる普通の役ではなく、変人の役。言っている事も意味が分からない事ばかり。見ている人が、意味も分からないし、はいはい笑いをとろうとしてるんだろうな.と寒い空気になるのを一番恐れていました。私の一番の課題である 形だけの芝居にならない事。普通の役ならまだしも、ナチュラルにやりづらい変人の役だから余計悩みました。
とにかく人の話を聞く事、ちゃんと反応する事に集中する、笑いを取ろうとしない真面目に.を心掛けて挑みました。これからもちゃんとサボらずに心を動かしてパワーを使う事を忘れずに頑張りたいと思います。
2年間通い続けた松濤。沢山の事を学ばせて頂き、沢山の事を体験させて頂きました。スタッフの人にも本当に良くして頂きました。色んな事があったけど、私の青春の場所です。ありがとう。これからも沢山の人達が羽ばたいてくれる素敵な場所でありますように。
2年間本当にありがとうございました!!

大森 まどか

今までは自分のことだけでいっぱいいっぱいだったのですが、他の人の場面や同じ場面にでている人の心情や表情などを深く観察し、見ることが出来ました。それと自分自身と自分の役の魅力をどうやって出すかのアピールをするということを一番学びました。今回は一人の役を双子という設定で二人でやらせていただきました。二人居たからこそ、それぞれの個性や長所をどんな形で出していけばいいかを二人でたくさん考えました。相方が居なければ私はここまで成長出来なかったなぁと思うほどです(笑)すごく感謝しています。
お芝居は舞台上の役者さんと裏方の方たち全員で作り上げていくものなのだと、改めて思いました。そして一番に、今回私たちをここまで引っ張り上げてきて下さった、演出の北島先生に感謝の気持ちでいっぱいです。先生のレッスン、演出を受けることができたことが松濤に通っていた中で一番嬉しかったことです。

岡 雄太

二年間の集大成であり、これまでの経験を無駄にせぬよう、これからの自分にとって骨折り損とはせぬようにと挑んだ舞台でした。語るべきは舞台の上で出し尽くしました。
二年間、長いようであっという間でしたが、何物にも替え難い経験を沢山与えて下さり、本当にありがとうございました。

猪野 和真

SAGでの最後の舞台、もっと公演期間が長かったらよかったのになぁ・・・
相手との距離感、関係性を考える。
本当に観て、聴いて、心を動かし喋る。
その場での自分のすべき仕事はなにか?基本を忘れずに。
色々と思うところはありましたが、北島先生や仲間たち、観に来て下さったお客様方のおかげでステキな舞台になった事だけは確かです。
皆様、本当にありがとうございました!

板坂 尚紀

今回、とにかく楽しかったのです。なんだかよくわからないけど楽しかったのです。楽しいだけじゃ駄目な気がしますが、楽しめないよりは楽しんだ方が勝ち組だと思うので、これからも楽しんでいこうとおもいます。

粕谷 菜摘

自分なりの「頑張った」は、誰にだって言えることだと思います。
ですが、夢を叶えるための努力は、プロをも上回なければ、プロになんてなれっこない。
きちんと現実を受け止めて、今の自分をしっかりと見て努力を続けられたのか。
そういう意味では、この2年間のなかで、自分に甘い日もあぐらをかいていた日もあったと痛感しています。
また、自分一人の努力だけでは何も作れないんだということも、たくさん実感できました。
舞台の裏方さん、現場の音響さん、役者全員…
みんなが「イイものを作りたい」という、同じ目的で努力をしなければ、イイものにはならないんだということ。
そして、その一員として作品に携わりたいという自分の気持ち。
多くのことを感じ、学び、考えることができました。
何度か現場に行かせていただけた経験も、自分にとって本当に貴重な財産です。
この2年間で得たものも失ったものも、自分を変えてくれました。
漠然とした夢ではなく、確実な意志を持って、この先も精進していきます。



















「声優である前にまず、役者であれ」というSAGスピリットを感じさせる感想が多く寄せられました。
舞台公演は彼らにとっては声優への通過点。舞台の上で大放出させたエネルギーをこんどはマイクの前で再現させていく道が始まるのです。
演じたいという気持ちをどう演技に変換させるか、身体に、心に実として刻みこめた彼らだと思います。
それが演技基礎。まだまだ修行は終りませんね。
どうか大きく羽ばたいて下さい。ちょっとぐらいでは折れない羽根が生えはじめたところですから。
卒業後、彼らの声がアニメや外画、ラジオから流れてくることを期待しています。

最後に公演を担当された北島善紀先生、舞台を支えて下さったスタッフの皆様、足を運んで頂きましたたくさんのお客様へ(連日満員御礼感謝いたします。)
誠にありがとうございました。

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