SAGレポート

15期声優部本科修了公演「きらら浮世伝」

2010年2月21日(日)
たくさんの拍手の中、本日無事に声優部本科の修了公演が幕を降ろしました。
お忙しい中、ご尽力下さったスタッフの皆様、難波先生、そして貴重な時間を割いて足を運んで下さった皆様、誠にありがとうございました。生徒達の分も心より厚く御礼申し上げます。
満員に近いお客様を前に生徒達の緊張もピークだったのでしょう。会場を埋め尽くす大勢のお客様を前に、本来は感動を届けなくてはいけない生徒達が幕が降りると共に号泣し涙涙の楽日となりました。今回は時代物ということで着物を着ての演技・立ち振る舞いの難しさ、台詞回しの難しさ、連日の稽古の厳しさや厳しさなどたくさんのぶ厚い壁が生徒達の前に立ちはだかった事と思います。前日までのあの疲れきった表情は忘れられません。しかし、本番では見事「遊郭、浮世絵、美しい世界の中で絡み合う人間模様」と素晴らしい江戸の世界を私達に見せてくれました。表情も生き生きと輝いていました!

Aチーム

蔦屋重三朗役:柴崎祥
最初に台本を見た感想。
時代物。台本のレベル。
できるわけない。もしかしてとんでもなく恥ずかしい、しょっぱい舞台になるんじゃないのか。
ヘタクソが一つずつ積み重ねた。時代考証もした。いろんな本も読んだ。
江戸時代の有名人も、失敗を重ねながら懸命に生きている姿をみた気がした。そんな蔦屋はめちゃめちゃかっこよかった。
頑張れると思った。
いろんな方々の協力があって、舞台に立てて、感謝しっぱなしの舞台になった。
いろんな意味で「いい舞台」になった。
去った仲間と登りきった仲間と、いろんな人に「ありがとう」です。
お篠役:茂手木麻子
松濤に入所し、演技の勉強を始めて約二年たちました。修了公演を終えるまでは、その二年間が長いように感じていましたが、終えた今となってはあっという間だったように思います。修了公演前の数ヶ月は特に時が経つのを早く感じました。時代劇ということもあり、着物の着付け方や所作、役柄ごとの小道具の扱い方など今までにない貴重な経験をすることが出来ました。先生に付いて教わる時間はとても短かかったので、自分達で練習を重ねる必要があり、教わった事を確認しながら皆で着物の帯を結び合ったり、わからない事を教え合って一致団結して取り組みました。今までの公演でも、仲間の大切さというのはしっかりと感じていましたが、この舞台でより一層それを痛感しました。
二年間を振り返ると色々な後悔がありますが、後悔があるということはまだまだ自分が成長していけるという事だと思います。松濤はこれで卒業となりますが、学んだ事を大切にこれからも日々一歩一歩成長していけるよう頑張ります。
伝蔵、女衒の六役:川辺俊介
卒業公演・・・入所してからもう2年が経ってしまいました。
だけど振り返れば遥か昔のことに感じます。
それだけ濃い2年間で、今までで一番充実した2年でした。
2年間で6回あった発表会、毎回、挫折しそうになって、号泣したこともありました。
でもそれを越える度に成長できたと確信しています。
この学校で最後の公演は和モノ!!
昔の時代特有の所作には苦労しましたが、江戸っ子の言葉使いは非常に楽しかったです。
絵師や物書きなど、「ものづくり」をする人々の話で、苦労して、挫折して、そして成功していく。
僕も苦労して、挫折して、その先に成功することが出来るように精進していきます。
お菊役:谷本早苗
修了公演で、お菊というとてもすてきな役をいただいて嬉しかったです。
今回のお芝居は今までになくのびのびできて楽しかったのですが、実際の舞台のDVDを観るとやっぱりダメなことばっかりでした。
この二年間本当にたくさんの方にお世話になりました。
本当にありがとうございました。
勇介役:高橋邦枝
『勇助………高橋』
『…ッ!はい!?』
本読みで先生がキャスティングを発表された時、衝撃でした。まさかの男役。
SAGに入所してから、旅立つ彼女…夢を諦めた女の子…真っ黒な道化師…ツンデレな子ガエル…きゅるんきゅるんな可愛いネコ……そして、命がけで描き続けた絵師。
舞台の上でならなんにでも、それこそ人以外にもなれるのが、芝居の面白さであり難しさでもあり。
勇助が、彼が、この2年間で演じてきたモノの集大成となれたのでしょうか。
今の自分では、正直わかりません。
ただ、これからも歩き続けていけば、いつかわかる日がくる気がします。
まだまだ目の前は壁だらけ。
時に乗り越えて、時に回り込んで、時に突き破って。
そうして進んだ先にどんな“役”が待っていてくれるのか、とても楽しみです。
最後に、多大なる御迷惑と御心配をおかけしつつも支え続けて下さった事務局の方々…根気強く御指導下さった講師の方々…そして、2年間一緒に歩み続けた友たちへ。
最大級の敬意と感謝を込めて。
お疲れ様でした!!!!!
鉄蔵役:石田夕理
私は鉄蔵という、後の葛飾北斎役をやらせていただきました。
男役は今まで何度かやりましたが、鉄蔵のような男の中の男!は初めてだったので、とにかく勉強の日々でした。
役者は役を生かしますが、同時に歪めてしまったり、殺してしまうかもしれません。
鉄蔵はとてもがむしゃらでまっすぐで自分の中の正義を持っていて、かつそれがブレない芯のある男です。
そんな鉄蔵を演じるには私がまず本気になって走り続けなければ、鉄蔵に負けて、結果、鉄蔵を生かせなくなります。
慣れないアクションで体は少しボロボロでしたが、鉄蔵の痛みをダイレクトに感じることが出来たので、とても嬉しかったです。
鉄蔵も痛かったんだなぁ、と。
「きらら浮世伝」がこのカンパニーで出来たことが幸せです。
今まで自分の芝居に精一杯だった私をまた一歩進めてくれたこの作品と役者、スタッフの方々、事務局の方々、そして2年間私たちを指導してくださった、演出の難波先生に感謝いたします。
いつか私が自伝を出すときは「スペシャルサンクス 松濤アクターズギムナジウム」と記載させていただきます。
2年間、幸せでした。
ありがとうございました。
恋川春町役:井上隆典
思い返せば短かった2年間ですが、節目は今でもしっかり覚えている程、濃い充実した毎日でした。
もちろん悩んで、堕ちてしまう事も多かったけども、それだけ自分と向き合えました。
修了公演では大きな役を頂きありがとうございました。
もちろんここでも悩んで堕ちていましたが、今の自分の精一杯が出せました。
春町の感覚は自分の目指す人間像に近いものがあり、なるほど!!と思う行動や台詞がたくさんあったのですが、やっぱり難しかった!!
それだけ目指す所は上にあるという事ですね。
しかし、逆に言えばそれだけ改善の余地があるという事!
この2年間で学んだ事にもっと積み重ねてこの先も第3次、第4次成長期を迎えていきます。
そして最終的にはやっぱり、目指せ「粋なおっさん」!2年間本当にありがとうございました。
初鹿野河内守信興役:土屋浩太郎
自分が気持ちいいだけの芝居をしてる、稽古中にそう言われ必死に演技や役について、それを表現者として『人に見せる』ということを何度も自分の中で考えました。そしてお金を頂くということ、自分の芝居に責任を持つこと、小道具、そして衣装、どれだけ自分達の自覚が足りていないか舞台をひとつ作り上げることがいかに難しいか、目指すところを再認識することが出来た公演でした。最高の肥やしであり宝です。
太田南敏役:宮城大資
2年間やってきてなんですが、一時期芝居を何でしてるんだろうと思った時期もありました。最後にはやっぱり芝居が好きなんだと思いました。お客さんに笑顔をおすそわけするなんてすごい事をしているんだなって。
一年目は、宮澤さんに舞台に立つ事を、難波さんに仲間とは腹をわってぶつかり合う事、北島さんには台詞の大切さ、石原さんにはみんなで一つの舞台を創る事を教わりました。
二年目に入り、『猫』・『きらら』とやってきたわけですが、みんなそれぞれに目標があり、本気で舞台を創り上げてこれた事が良かったのかなと思います。色々な危機(?)はありましたが今振り返れば楽しい日々でした。
『きらら』は、お客さんからお金を頂いたわけですから、今までと一緒だといけないという気持ちはありました。なんとか、料金に見合ったものはしたいとは思ったのですが、なにぶん滑舌が駄目なもんだから、張り切れば張り切るだけ滑舌が気になって・・・
目立つことは出来ない役だけど、なんとか印象に残るような事がしたかった。左七には出来たのに。
駄目だなぁ駄目だなぁとは思っていても、何も変わらない変えられない自分が悔しかった。
大学まででは経験出来なかった、でも、これから生きていく上で大切な事を沢山学べました。
松濤に入る前の自分より少しだけ強くなれた気がします。
最後は、嬉し涙を流せるように頑張って行こうと思います。
与七役:林佳世
SAGでの生活を締括る修了公演!
Fクラスが一致団結出来た!!(と思う)「きらら浮世伝」
私の中では今までで一番力が入り、そして一番力を抜いて楽しめました。
演技の事も分からず、発声や発音もボロボロで上手くいかない自分自身に苛立ち、でも諦め切れずに悪足掻きをし友達に言いたい事を言い、言いたくない事も言い2年間が過ぎました。
「自分には芝居は演じるのではなく観るのが合ってるから今回が終われば諦めよう」と思っていたのですが、急遽プロで活躍されている先輩方と舞台を踏ませてもらえる事になりプロの凄さを目の当たりにし、演じる事の楽しさを改めて思い知りました。
今回は以前の様に全員で集まって自主練習をした訳ではないのですが…(まっ、する時間自体がなかったのですが)今まででは考えられない位、クラス全体の雰囲気もビックリするくらい柔らかい感じでギスギスしてなくって、一人一人が「Fクラスで芝居するのが最後」って思いで練習出来た気がします。
私は、ギスギスした空気が苦手なのでホントに今回は楽しいかったです。
今までなら先生に聞きに行くのも勇気がいて、中々聞きに行けなかったのですが、今回は最後だからか授業終わりに聞きに行く事が出来ました。
聞きに行くと丁寧に(?)教えて貰えて「なんで今まで聞かなかったのかな…勿体ない事をした」と後悔しました。
今後の予定は決まってませんが「きらら」を終えて少し自信がついた私に怖いものはありません…たぶん。
SAGでの2年間は今まで生きてきた二十数年の中で一番青春出来た濃い時間です。
SAGで出来た友達は言いたい事を言いあって泣いて笑った最高の友達です。
また、いつか何処かでFクラスが集まって芝居が出来れば良いな☆
ありがとうFクラス!
ありがとうSAG!!
玉虫役:小林悠希
今回の舞台は江戸、私は女郎役でした。
私のいる世界とはまるで違う世界です。まず女郎についてネットや本で調べましたが、私の考えていたものとは全然違いました。
こういった機会がなければ、恐らく私は一生彼女達を知らないままだったと思います。
私の演じた玉虫という役は、彼女を考えれば考えるほど切ない気持ちになります。夜寝る前に玉虫を考えていたら、悲しくて玉虫が愛おしくて涙が出てくることがよくありました。
演じるにあたって、そんな玉虫に失礼がないようにと考えていました。
玉虫の想いを私を通して出したい、出さなきゃ、と思って四苦八苦しました。
結果、私と玉虫の気持ちが一つになる瞬間はありましたが、それを持続させることは出来ませんでした。悔しいです。
ですが私は、その瞬間のために演技をしてるんだなと改めて思いました。
そんな瞬間をこれから増やしていくのが私の目標です。
舟虫役:古山睦子
「舞台は表に出ている役者だけのものではない。」
何処にでもあるようなそんな言葉が、修了公演を通じて理解出来たことでした。
それまではどこか、お客様の前に出るのだから役者がしっかりしないと、等自分達を中心に回っているように考えていました。
しかし、現実は全く違います。
舞台監督、音響、照明、衣装…演出。表には決して出ることはなくても、それらの支えがあるからこそ役者は舞台で輝けるのです。
何か一つでも欠けてしまうと良い作品は出来ないと痛感しました。
今回の修了公演を支えて下さったプロの方々の、舞台へのプロとしての意識の持ち方、様々な技術など、色々と勉強させて頂きました。
そして、素晴らしい作品が目の前で出来ていくのが見れたこと。また、その舞台に立てたことを大変嬉しく思います。
ご観劇に来て下さったお客様、そして私達を支えて下さった方々に心からの感謝とお礼を。
西村屋、中山富三郎、武士役:森田大樹
松濤最後の舞台はきらら浮世伝。
台本の厚さに驚愕し、役ごとに全く違った所作があり四苦八苦していたのが昨日の事のようです。
やりたいことはたくさんある。
でも出来ない自分がもどかしい。
そして気が付けば本番を迎えていました。
どうしようもなくなって一心不乱に全力で演じた結果…。
『力入りすぎ』の一言。
演じるってとても難しいです…。
でも、やりがいはあります。
この気持ちを忘れずに日々精進していきます。
二年間お疲れさまでした!
狂言師、遣手婆役:永木葉子
「あんたいつまでここにいるんだい?」
―ぐずぐずと座を立たない客への一言、私が密かに好きだった、遣り手婆の台詞の一つです。
特別な感情を込める台詞ではないけれど、意地、野心、もどかしさ、色んな感情を燻らせている主人公に掛けられる言葉。それを見守るお客さんの耳に届く言葉。
生きた言葉を喋りたい。
『きらら浮世伝』にはそう思わされる台詞が沢山ありました。「伝える」とはどういうことか考える時、先生方から色んな形で言われた言葉をポンッと思い出したりします。
役の意思を持ちそこに存在することで、伝えたいと思いました。SAG最後の舞台で、皆と絡みの少ない語り役になったことを初めは寂しく感じましたが、また同じ舞台に立ちたいなら伝わる言葉を喋らなきゃと今思います。
ここは大門の外なのか中なのか。それとも門の下に立っているのか。いつまでもここには居られない。選んだ道を進みます。

Bチーム

※Aチームとは異なるキャストのみ記載します。

お篠役:尾崎恵理
二年間の集大成を披露する舞台…。
本番前は、今までやったどの公演よりも緊張しました。
ちゃんと成長しているだろうか…お金を払ってまで見た価値があったと思ってもらえるだろうか…と不安でいっぱいでしたが、幕が上がるとそんな気持ちは吹っ飛びました。
目と目、呼吸と呼吸を合わせながら芝居をすることが、どんなに心地良くて素晴らしいことなのかを改めて実感しました。
大切なことをたくさん、ありがとうSAG。
玉虫役:西潟友美
修了公演を終えて、やはり自分は精神的にも肉体的にもまだまだ未熟者だということを再認識した。
それを維持すること、モチベーションの保ち方、難しかった。
今回の『きらら浮き世伝』は今までで1番難しい作品だったと思う。
いろいろ問い掛け、考えさせられる作品だったし、新しいことにも挑戦できてよかった。
唯一、本番に体調を崩してしまったことは初めて悔やまれる。
SAGでの二年は本当にあっという間だった。
演じたいのに、演じきれずジレンマ。
伝えたいのに、伝えきれずじだんだ。
そんな日々だった…。
今まで味わったことない感覚、湧き出た感情、出会った人達…全てが宝物。
次のステージでも生かして更なる高みへ。
この二年間、関わって頂いた全ての人達に感謝したい。
ありがとうございました!
舟虫役:松原安希
終わってみて一番に感じたことは、無事に最後までできた安心感とこれでここでの舞台は終わりなんだと思う寂寥感でした。
二年間で学んだことを舞台を通してお客様に見ていただいたことは、私にとってとても大きなもので、今までにない達成感と少しの自信を得ることができました。ただ、自分自身にあまり余裕がないところがたくさんあったりと、思い返すと自分のダメな部分が浮き彫りになったりして、まだまだ未熟だなぁと改めて認識しました。
松濤にきて、自分の良いところ、ダメなところ。伸ばしていきたいところ、直していかないといけないところ…色んなことを発見できたと思います。
ここでのことを忘れずに、自分の中の可能性を信じて突き進めて行きたいと思います。
二年間ありがとうございました!

松濤アクターズギムナジウムで2年間学んだ集大成お見事でした!
そして、心に残るお芝居ありがとうございました。これからが新しいスタートです。
松濤を旅立ちそれぞれの道を進む皆さん、秘めたる実力存分に爆発させてテレビに舞台にラジオにCDにと大活躍する姿をスタッフの皆様も先生も観に来てくださったお客様も私も楽しみにしております。これからも前進あるのみ!頑張って下さい!

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