連続ワークショップ第1回レポート 及川中監督のワークショップ

連続ワークショップ 第1回レポート

1日目:2008年5月31日(土)13:00〜17:00
2日目:2008年6月1日(土)13:00〜18:30(時間延長)

松濤アクターズギムナジウムが、映像の世界で活躍できる俳優を本気で発掘・育成するため、日本映画注目の映画監督とともに開講する連続ワークショップの第1回が、去る5月31日と6月1日の2日間、開催されました。

 及川中監督

今回の講師は、5月10日に公開された『ひぐらしのなく頃に』の及川中監督。コミケ発の同人サウンド・ノベルゲームの実写版として話題のこの作品は、原作者の意向を反映して多くの謎を残したまま、続編の制作が決定しています。

さて、今回のワークショップは、松濤アクターズギムナジウムの生徒のほか、一般参加者、プロダクションの所属俳優なども加わって、どのような展開になるのか、開講とともに期待も高まりました。
 ワークショップの様子そして、「観客は演技を見るよりも前に、その役になっている俳優の存在を見ているのだ」という及川監督の言葉に引き込まれていったのです。今回のワークショップでは、演技の上手・下手に興味はないという及川監督。画面として切り取られるフレームの中に、自分の立ち位置を見せることが大事なのだそうです。

会場になったのは、松濤アクターズギムナジウムの地下にあるライブスペース「OMEGA東京」でした。  ワークショップの様子  ワークショップの様子舞台に立って台詞を言う受講生の姿を、監督自らカメラを覗いて切り取り、画面として作られる空間をモニターに映します。舞台俳優とは違う、映画ならではの俳優の存在が示されました。

シナリオとして使われたのは、及川監督の2006年作品である『吉祥天女』です。余分な演技をするのではなく、ただ台詞を言うことからワークショップは始まりました。
  ワークショップの様子  ワークショップの様子  ワークショップの様子  ワークショップの様子
  ワークショップの様子  ワークショップの様子  ワークショップの様子
さらに二度目のトライでは、相手との距離を近くすることで、お互いの存在が意識され、立ち位置が理解できるようになるということを、受講生は実感していったようです。

二日目には、さらにリアルな存在をフレーム空間の中に感じさせてくれた受講生たち。
  ワークショップの様子  ワークショップの様子  ワークショップの様子
  ワークショップの様子  ワークショップの様子  ワークショップの様子
  ワークショップの様子  ワークショップの様子 ワークショップの様子
  ワークショップの様子参考のために見せていただいた『吉祥天女』や、役者の生きている度合いの濃さが伝わってくる『日本製少年』のDVDに、それらの作品の中に受講生自身でも存在することができるかどうか、考えさせられたのではないでしょうか。

今回のワークショップに、及川監督が『ひぐらしのなく頃に』の続編に使いたくなるような俳優はいたのでしょうか。それはわかりませんが、受講生ひとりひとりが役者として存在する前に、人間としての存在を輝かせることが大切であることを、監督に教えていただきました。

及川中監督

及川 中

Ataru Oikawa

プロフィール:

1957年東京生まれ。平凡出版(現マガジンハウス)編集者を経て、90年『オクトパスアーミー 〜シブヤで会いたい』で監督ビュー。98年の『富江』は新宿ジョイシネマのレイトショーで異例のロングランとなった。『ひぐらしのなく頃に』は、コミケ発の同人サウンド・ノベルゲームの実写版として話題の作品で、2008年5月10日公開。

代表作品:

  • 『日本製少年』(1995)
  • 『富江』(1999年)
  • 『ラヴァーズ・キス』(2002年)
  • 『吉祥天女』(2006年)
  • 『1303号室』(2007年)

映画「ひぐらしのなく頃に」
5月10日より全国ロードショー

公式サイト:

ひぐらしのなく頃に
http://www.higurashi-movie.com/

受講生の声

色々な監督と会えるのはチャンスにもつながるし良いと思った。WSとして考えると、自分と役をリンクさせる感覚が少しわかったが映像実習という形で自分が参加する時間が少な過ぎて物足りなかった。

芝居をする自由の効かなくなるような相手との距離感、それによって生まれる自然な演技、こんなやり方があったのかと驚きました。そして芝居を学び、本番では芝居を捨てると言った事が何となく分かってきた気がしました。

今回のワークショップ、私には大きな謎が残って終了した。もちろん役者としてやっていくためのとてもすばらしい謎である。それは限られたフレームのなかで、いかに「普通を演じるか」。言葉にして言われて、実際にやってみて、難しいことを実感。今後、映画やドラマの見方が少し変えてみよう。謎が少しずつ解けていくかもしれない。

31日1日のワークショップでは、お世話になりました。及川監督のワークショップ、とってもためになりました。「自分の相手を感じること」当たり前の事ですが、演技に入るとなかなか出来ないものですね。お芝居の基本の大切さを改めて実感しました。

最前線で活躍している監督にお会いできる場を設けて下さった事務局をはじめスタッフの方々本当にありがとうございました。

正直なところ、始めの段階では、このワークショップでの2日間、『何をやるんだろう?しかも、1日4時間も!』と思っていた。というのが、参加する前の思いでした。

そんなことはさておき。まさか、まだギムナジウムが始まったばかりなのに、現役の監督に、“自分の芝居”と言っては、語弊があるかもしれないが、見ていただけるとは思わなかった。及川監督作品のいろいろな場面を、実際に、自分達が演じさせていただいた。これも意外ではあったが。今回の演じることにあたっては、及川監督から『台詞は棒読みでもいいから、自然にやって。』ということを、2日間通して言われていた。

実際に、やらさせていただいてみて“自然に演じる”ということが非常に難しく感じた。どうしても、頭の中でいろいろと考えてしまう。今回、及川監督作品を題材にして、いくつかの場面を演じさせていただいたのだが、一部分をやらさせてもらったにすぎないが、及川監督の作品が身近に感じた。再度、及川監督作品の映画を観ようと思ったりもした。他にも、いろいろと指摘というか、アドバイスをいただいたが、これからの自分にとっても、良い機会だったと思っている。

個性といっしょで、監督によって、撮影の仕方だったり、作品も違っていくということを、改めて、感じたかもしれない。一番ショックだったのが、監督に自分の姿を見るやいなや、『あれ、先生がこんな所にいる(笑)。先生なの?』と言われたことだった(笑)。スーツで行ったのが失敗だったのかしら(笑)。 意味の分かり難い、文章で申し訳ありません。

及川監督には俳優として、入り口に立つための心構えを教えていただきました。私は演技をするって事を勘違いしていたと言うか、しっかりと理解していなかったように思えます。レッスンが始まって約2ヶ月。基本的な技術を学んできましたが、1番大事な『共演者と会話する事』に気が付いていませんでした。

集中する、相手に話しかける、相手の話しを聞く、どうにもコントロールできない気持ちを利用する、その人物として瞬間的に生きる。たくさんの事が目から鱗で、この2日間参加して本当良かったです。もう一度俳優としての入り口に立つ事から始めます。

今回の演技は凄く良かったけど、まだ半目で見られる程度だと言われたので、いつか監督にプロの目でしっかりと見開いてもらえるように努力していきます。本当にありがとうございました。監督に感謝しています。

今回このWSを受けてみて、現在映画公開されている映画監督から直接意見・感想を聴くことができたので勉強になりました。

監督自身おっしゃっていたことですが、監督が撮影現場で俳優に細かい指導をすることはほとんど無い、ということなので、それをして頂けた今回のWSは貴重な経験だったと思います。また、演技自体にしても、舞台上とカメラ内では異なるものが求められるということは分かっていましたが、それでも表現の方法が異なるだけで、根底にある部分は同じであるということを学びました。

今の自分にレッスン等で、あれも必要、これも必要、と学んでいると時々進みたい方向に向いてすすんでいるのか不安になりますが、根元にあるものは同じであれば迷う事は無いんだと改めて気付けました。

演技には表現派と存在派がいると言いますが、そこに嘘がない限り結局はどちらも同じなのだと感じました。そこに存在しているから喜怒哀楽があり、空気があり、それを見せる。数字や理論では表せられない曖昧なものですが、やはり演劇は面白い。

及川監督が「そこに存在しているのに何故演技をする必要があるだろう」と仰った時、私は演技が上手いのは嘘吐きで、存在するのが役者なのかな、と思いました。

私の目指す場所は何処なのか、私はどこまで演技をせずに演劇が出来るのか。頭で考えても答えは出ないので、これから役者を続ける中で答えを感じようと思います。

映画WSを受講して、改めて役者の演技というものに対して見直すことができました。 まず一番感じたことは、役を作るということではなく、ありのままに役を生きるというとです。 そこにその人物がいるという存在感。そして相手を直に感じるということ。それは映像の演技であれ、舞台の演技であれ、演技を支える根本的なものだと思います。 それを監督は強くおっしゃっておられました。

あまり経験したことのない演技を求められ、とまどうことが多かったですがその分沢山勉強になったと思います。同性とキスをするというのは初体験でした! 色んな方の演技に対する意見を聞けることはとても勉強になると思います。 これからも積極的に参加して、色々吸収し、自分の演技と向き合っていきたいです。

及川監督のワークショップで考えたことが沢山あります。その中で1番印象に残ったのは、人としてそこの空間に立つと言うことです。ただその場に人として立つ、と言うことを、頭で考えがちで1日目が終了してしまい、中々思うようにできず、悔しかったです。

相手を意識する、と言うこともなかなか思うようにできずに及川監督の言われた“演技ごっこ”をしていただけだったんだ、とつくづく今までの経験が、本当に演技経験と言えるのか、果てしなく自分の自己満足で終わっているような気がしました。

今回のワークショップで、未だに自分に足りないものがなんなのかはっきりしたものは掴めませんでしたが、相手や空間を意識する、と言うことで、役として生きる。と言うことをぼんやりとではありますが、目に見ることができたような気がします。

この事が、これから先の色々な事に活用できて、今はなんとなくぼんやりとしているものを少しでもはっきりとさせていけるように、これからも努力をしていきたいと思います。この2日間に体験できた事を大切にしてこれからの授業を今以上に大切に受けていきたいと思います。2日間、お世話になりました。

滅多にできない貴重な体験ができました。制作サイドからの、役者や作品に対する考え方(もちろんそれが全てではありませんが…)や、演技というものについて、技術以前に大切な「感覚」など、それこそ、普段のレッスンでは得られない経験ができました。これまで観てきたいろんな作品を、また違う視点から観られそうです。

監督の教えは、今まで松濤で教わってきた事とは全く異なっておりました。最初は戸惑ったのですが、時間が経過するにつれ、ほんの少しではありましたが、理解できました。今回のワークショップにより、演技とは何かの一面を学ぶ事が出来ました。今後、機会がありましたら受講したいと思っています。

及川監督のワークショップを受けて思った事。演技の上手い・下手じゃない、その人の持っている経験や感情が役と一致した時に鳥肌が立つ演技をする。役そのものに憑依されたようになりきる。それが監督の教えてくれた事であり、役者をするうえで大事なんだと教えてくれました。

私はテキストを貰うと上手く読まなければ、噛まない様に感情を込めて読まなければと思う事がありました。技術を上手くなりたい!そんな事ばかり考えて、役と真剣に向き合い、自分の感情・表情・体の全てを使い役になる事、それが基本だと言うことを私はいつの間にか忘れてしまっていたのです。

及川監督のWSで、私はこのままでは駄目だと気づく事ができました。どんなに上手く読んでも、感情を込めて読んでもその人になりきらなければ距離感もわからないし、本当の感情にはきっとならないのだと思います。

女性とのキスシーンや立ち稽古みたいな事は初めての体験で緊張する事もありましたが参加できて本当に良かったです。WSで覚えた事を自分に取り入れ、忘れずに生かして行きたいと思います。