SAGレポート

声優部本科中間発表会レポート

2012.12.20

10月中旬。声優部本科による中間発表会が行われました。
今回の演目は和物、時代物です。夏より所作の稽古を行い、古典の言い回しを鍛錬し、衣裳小道具とたくさんの和物を集めてと、ものすごくエネルギーを注いで行った演目でした。

SAGでは俳優・声優になる前に役者であれという気持ちで演劇に関わってもらいます。

演技の基礎である舞台。台詞が無くても、動きが無くても、板の上に立っている限りその役として演じ芝居をするのが役者です。

役者の芽は出たでしょうか。

生徒感想

井出佳耶乃

基礎科の修了公演では、照明という立場から舞台というものが総合芸術であることを学びました。
今回は、演出助手という立場からもっと深く具体的に舞台が一から創られていく様を演出の横で見ることができ、そこでしか味わえない貴重な体験をさせて頂きました。演出による色の付けられ方、水面下の様々な人間模様や仲間の成長、そこで感じた葛藤、憤り、困惑、驚きや発見、そして感動……何ともお腹いっぱい詰め込まれた半年でした。

今回、講師ではなく演出家から指導を受けてプロの世界の厳しさや面白さを知りました。それらはこれからの自分にプラスになるものばかりだと思います。ただ心残りなこともあって、それは演出家の用意していて下さっていた物の半分(はいけたのかな?)しか自分達が返せなかった事です。養成所生であるというのは言い訳にしかなりません。明らかに足りない私達の集中力のなさが大きな原因です。本当だったら付けていただけたはずの演出だったので勿体なく、とても悔しいです。修了公演で同じ思いをしないために今回の多くの反省点を見直し、取り組みたいと思っています。
辛いことも沢山ありましたが、また舞台がやりたいと思いました。

樋口一樹

レッスン中、他の講師の方からこんな質問がありました。
「和物は声優とあまり関係無いように思える。確固たる信念なくやれば無駄な時間に終わるだろう。お前達が中間発表を疑い無く行えるのはなぜだ?」
アトリエを一瞬包んだ沈黙を破ったのは僕でした。
「正直、所作自体が声優の糧になるのかはまだ分かりません。ただ、佐藤伸之さんという演出家は迷いなく尊敬できる方であり、必ず僕たちに大きなものを残してくださると確信しています」
そして。僕が佐藤さんからいただいた最も大きなものは、「世界の広さ、己の無知さ未熟さを知ること」でした。
お芝居に関しては言わずもがな、知らない街、知らない店、知らない食べ物、知らない出来事、知らない人々。これらが僕の人生に圧倒的な存在感で怒濤の勢いで殴り込んできたのです。打ちのめされました。いかに自分が小さい世界で生きてきたか。経験値は間違いなく力です。
佐藤伸之さん、伊藤貴子さん、ご協力・応援・ご覧くださった全ての方々、そして“一緒に真摯に芝居に向き合ってくれた”仲間たちに、心からの感謝を送ります。

草野寛子

この作品に触れられるならどの役でも、と待っていたキャスティング発表を見て驚きました。初の男性役。しかも男らしい武士。
「武士としての」心意気、生きざま。所作を通してそれが出せなかった。ふとした瞬間女に戻ってしまう。できないなりに自分ができることは沢山あったはず。悩んで足踏みしていた自分の時間がもったいない、と気付いたのは大分後。「感じて」芝居すること。簡単なはずなのに雑念が邪魔をする。台詞にとらわれずお互いに相手を感じて、相手と会話している瞬間があった時は気持ち良かった。
3日間の本番。発表会としては長い、けど短かい。もっとやりたかった。3日間計6公演の中間発表会を通して、自分含め周りの役から台詞以外で表現できることの多さを知りました。
今回得たことを修了公演に生かし精進していきます。

川上憲心

はじめて経験する古典作品。
当初は仕草も言葉遣いも全く理解できず、能・狂言のDVDを見るもこれまた「コレだ!」とも思えないまま稽古が始まりました。
ただ不安を持ちながら始まったのに、稽古が進むにつれて古語だとか古典作品だとかいう偏見は全くなくなり、はやく稽古日にならないかとワクワクしていました。
こればかりは本当に演出家さんのおかげだと思います。
ただ私たちは何度も脚本を読み返し演出家さんに尋ねているから理解が進んだものの、一度だけしか見ないお客様には脚本と演出の楽しさを伝えられるのだろうか。
そう考えると仕草も言葉遣いも非常に丁寧になったのを覚えています。
もちろんそれは現代口語劇でも一緒なんですけど。

榎谷菜々子

今回は佐藤先生の指揮の下、裏方も全て自分達で分担しましたが、一つの舞台を作るのに関わる人・仕事のことを知ることができました。一人ではなく、皆で協力すること(そこに至るまでにも色々ありました)、支えられていること、支えていること。得られたものは大きいです。
各部署の方々、ありがとう。数人に負担がのし掛かってしまってごめんなさい。その負担を減らしてあげられなくてごめんなさい。
何も知らない私たちに、本当に一から、いやマイナスから懇切丁寧に教えて下さり、また多数の衣裳をお貸しくださった先生方、本当に、本当にありがとうございました。先生には、お礼申し上げても言い尽くせません。
そして当日、貴重なお時間を頂きましたお客さま、ありがとうございました。
今回の発表会で、やはり「演ずることは楽しい!」という思いが強まりました。「演じることが身につけばもっと楽しい!」ということも。それまでは辛くしんどいものではありますが、舞台に立てばそんなものは吹き飛びます。舞台が終われば、きっともっとできたはずだという思いが沸き上がります。
次は修了公演。またあの思いをしないために、そしてまたあの思いをするために稽古したいと思います。

長谷悠衣

新しい発見ばかりでした。今まで観たり体験した舞台とは違う日本舞踊を取り入れた舞台で初めはどうなるのかと思っていました。

着物の着付けかたや和服を身につけた上での立ち居振る舞い…。面白い!と思うのと同時にこれは難しい…。と感じました。

日本に住んでいながら日本の文化を知らない。
全てに興味がなさ過ぎる。嫌いでも良いから興味を持て。
稽古中に散々言われた言葉です。
自分がどれだけ他人に感心がないのか、興味を持っていない、持っていたとしても興味が浅いのかが分かりました。
今回演じた物語は台詞の量が少ない役は極端に少ないのに舞台上には常に存在してる。
その様な役が多く、台詞がないのに舞台にいる難しさ、台詞無しでどうやって自分の役の存在させるのか。喋る以外の難しさが沢山ありました。
様々な点に気付かされました。
そして、最後まで見捨てずにいて下さった講師の方々、事務局の方々に感謝の気持ちでいっぱいです。有り難うございました。

最後に
声優部本科35名をまとめて頂いた演出・佐藤伸之さん、所作・伊藤貴子さん
劇場に足を運んでいただいたお客様へ
誠にありがとうございました。

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